さて次のチェンバーブロスの本番で披露するシベリウスの「弦楽のためのプレスト」だが、シベリウス好きな人はよくご存じだと思うが「弦楽四重奏曲 変ロ長調 作品4」の三楽章を作曲者自身が弦楽オーケストラ用に編曲したもの。シベリウスの弦楽オーケストラ作品としては「アンダンテフェスティーボ」が広く知られているが、「アンダンテ…」や他のシベリウス作品で見られる幻想的な音楽という感じではない(プレストだしね…)。しかしシベリウスらしさが失われている事はなく、フィンランドの深い森に春一番が吹き込んだ感じの曲か(フィンランドに春一番が存在するかは知らない)。
今回弦楽四重奏版を含め3枚のCDを聴き比べてみた。
シベリウス・アカデミー四重奏団 WPCS-4747 (弦楽四重奏版:廃番?)
オスモ・ヴァンスカ:ラハティ交響楽団 BIS-1485
トゥオマス・オッリラ:タピオラ・シンフォニエッタ ODE-952
シベリウス・アカデミー四重奏団 WPCS-4747
弦楽四重奏が弦楽オーケストラに編曲された曲を聴くとほとんどの場合がそうだが、圧倒的に表現力があり聴いていて楽しい。ピアノからフォルテへの盛り上がりに勢いがあり緊張感のある弦楽器の響きが心地よい。
プレストどうこうと言うよりも、作品4が素晴らしいので是非一度聴いていただきたい。ロマン派の空気が流れる素敵な作品だ。
オスモ・ヴァンスカ:ラハティ交響楽団 BIS-1485
「seriously SIBELIUS」と題されたシベリウスの作品集「IN MEMORIAM」の初佼版と改訂版が入った興味深い盤になっている。オスモ・ヴァンスカ氏は別のオーケストラで何回か指揮をふっていただいた方の師匠なので以前から興味があった。今回のが初CDとなる。テンポ設定は少しゆったりめ、響きのみで構成されたような音を出す。特に1st Vnの響きが朝もやのように透明な響きで感動もの。和音もさすがシベリウスの巨匠と思わせる絶妙なバランス。「弦楽のためのプレスト」のCDとしてはかなりオススメである。
トゥオマス・オッリラ:タピオラ・シンフォニエッタ ODE-952
まさかのテンポ設定!!他2枚が6分45秒前後だがこのCDは4分41秒で終わる。その差約1.5倍!演奏内容もまさに早送りにしたかのような演奏。しかもその速さでいて演奏の乱れが少ない。まさに疾走する演奏。ただし他のCDを聴きなれているとあまりの速さに聴いていて疲れてしまう気も…
ただ遊びの一枚としては是非もっておきたい。